経営者の人柄を重視した結果…

就職先選びでの思い違いは、人柄重視したことです。再就職先として選んだのは、人の良さそうな経営者が営む人材派遣の会社でした。経理・総務の経験があったので、派遣業についても各種届出や契約手続きなどをできるだろうという自負がありました。穏やかな社長と、仲の良い奥様のために頑張ろう。そう思って良いと思うことは積極的に提案し、自分の仕事を増やしていきました。

 

仕事を増やすと言っても時間内にできる仕事でしたので、雇用時の約束通り定時には帰っていました。

 

しばらくやってみると、人材派遣の仕事は、クライアントを探す以上に働く人を確保することのほうが難しいということが分かりました。人材を集めるための工夫として、ホームページの開設や、説明会の実施などを社長に提案しましたが、資金不足を理由に棚上げになることばかりでした。それでも、できることはやってみようと無料のサイトに登録したり、クチコミで宣伝したり、自分としてはいただいている給料以上のことをしたつもりです。

 

そんな私の働きぶりに、社長も社長の奥様も感謝してくださいました。食事をご馳走になったり、旅行先のお土産をいただいたり、良い関係で半年が過ぎていきました。その間売り上げのほうはさっぱりです。資金繰りはどうなっているのだろうと心配しましたが、社長も特に何も言いませんでしたので、ささやかな経費節減に協力する程度でそれ以上のことは何もできませんでした。

 

クライアントからは時々問い合わせがありましたが、何しろ対応できる人材がいないのです。売る商品が無いのに店を出している状態です。クライアント先への営業はできても、個人に向けては何ともしようがありません。大手のようにお金をかけて募集広告を出すというのは現実的ではありませんでした。若干名の派遣人材の給与計算をするのが私のメインの仕事になりました。仕事のボリューム的には月に2〜3日あれば済んでしまう内容です。

 

毎日の勤務が無駄に思えてきた頃、社長から勤務時間を短くしてほしいと申し入れがありました。とても申し訳なさそうな表情に、承諾するしかありません。月の収入は半分程度になりました。その時私は、本当は辞めてほしいのだということに気づくべきでした。社長は辞めてくれとは言い出せなかったのです。

 

それから半年ほど経って、いよいよ先の見通しが立たなくなってきました。社長は人材派遣業のほかにも仕事を持っていましたので、事務所家賃や私の給与などはそちらから賄っていたのだと思います。社長から解雇を申し渡された時、人材確保のための新たなアイデアがありましたが、提案せずにそのまま辞めました。良い人は、裏を返せば決断力が無い人なのだということが良く分かりました。全く恨みには思っていませんが、残念な気持ちになった転職経験です。


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